日時:2010年5月23日(日)雨
メンバー:14名

ルート:中風呂バス停(9:00)~1234.7mピーク(11:10)~奈良倉山山頂(12:15)~松姫峠(12:50)~小菅の湯
「最初はグー、じゃんけんポンっ!」駅のホームに元気な声がこだまする。
夕刻、雨の上野原駅。差し出された12本の腕の持ち主は、誰もが笑顔に満ち溢れていた。
12分の1の幸運?!それを見事に引き当てたのは、最後まで負け続けた言い出しっぺの自分だった。
天気予報は雨。
前日、SLの自分の所に問い合わせが相次いだ。
リーダーの携帯電話は行方不明。マナーモードのまま、座布団の下で息を潜めていたらしい。
「リーダーの事だから中止はないだろう。」と受け答えた。
集合場所である中央線大月行きの先頭車両は、ほぼ貸切り状態。
ここに集った猛者たちは総勢13名。あとの1名は次の電車で猛ダッシュとのこと。
そう言えば途中の電車も空いていた。先週も同じ電車だったが、登山客の数が圧倒的に違う。
((こんな日は普通なら中止にしちゃうのかなぁ?))
雨粒の付いた車窓を背に、ザックをひっくり返して雨支度。傍から見ると異様な光景かもしれない。
みんなでやれば、こわくない、こわくない!!
猿橋の駅では観光ボランティアのおばちゃんたちが出迎えてくれた。
「難逃れのお茶だよ。幸せになれるよ。」
飛びっきり元気のいい声に思わず、「いただきますッ!」
そのおばちゃんお手製の〝きゅうりの浅漬け〟が実に美味。「おばちゃん、ありがとう!!」
中風呂バス停はすでに本降り。
少し迷うも佐野峠への看板を見つけ、川へと下って行く。橋を渡り尾根へ取り付く。踏み跡はある。
去年同じルートを辿ったリーダーは、状況の変化に少し戸惑い気味。
去年は荒れて草ぼうぼう、藪漕ぎをしつつ急登を上がったらしいが、今は快適につづら折りが切られている。
案の定、リーダーは少々つまならそう!
ヒノキの幼木が植林され、真新しい鹿除け防護ネットが尾根伝いに張られていた。
それがつづら折りの真ん中にあるもんだから、ネットの左右を行ったり来たり。
その度に扉を開けたり閉めたりで面倒くさい…。けど、楽して登らせてもらってるからね。
やがて登山道は佐野峠へとトラバースして行く。が、ここは尾根を忠実に辿って1234.7mピークを目指す。
道のない尾根の直登。
ヨイコラショ、ウントコラショ、上体を前のめりにして立ち木に掴まりながら、ガンバレ!ガンバレ!!
((リーダーはいつもこんな所を歩いているんだなぁ…。))
2回目の休憩は、この1234.7mピーク。ドンピシャリとたどり着く。
登山口から約2時間。ザックを下ろし間もなくすると身体がすっかり冷たくなった。
雨具の中はビッショビショ。間違いなく雨漏りしている。
((ずいぶん酷使してきた。ある程度予測していたがこれ程とは…。))
ここが3000m級の稜線上だったら…。想像しただけでゾッとした。
その状況にならないと分からない事はたくさんある。出来るだけ安全な状況でそれを確認することはとても重要!!
なのに…。本日の行程は安全とは言い難い。認識の甘さを再確認。
((みんなはこんな失敗しないよなぁ…。))
佐野峠から奈良倉山・松姫峠へと続く稜線は、なんとなんと!りっぱな林道になっている。
こんな所に林道なんて不思議な感覚だ。
さすがに遠慮してか林道は奈良倉山山頂を巻いて行く。
そこは秀麗富嶽十二景にうたわれる名勝。今日はただ真っ白なキャンバスが置かれただけだった。
晴れた日にはどんな絵が描かれているのだろう。
轍に泥水を溜めた林道が白い霧に包まれて行く。一塊になった黒い集団がにぎやかに早足で先を急ぐ。
時間が押している。急げ、急げ!!
突然、霧の中から大きな道路標識が飛び出して来る。山の中に居るはずなのに…、どこか異空間に迷い込んだ感じだ。
松姫峠。ここにはバスもやって来る。
時刻表に目をやると、季節運行のしかも一日に1本しかない小菅の湯行きのバスが間もなく到着予定。
さあ、緊急会議だ!
ここから先が本日の核心部。晴れた日でもぬかるんだ困難な尾根、しかも道は無い。雨、雨、雨……。
リーダーの英断が下った。
「小菅の湯で宴会に切り替えます!!」
皆、サイレント版〝歓喜の雄叫び〟を胸に、小さくガッツポーズ。
猿橋駅のおばちゃんの言葉が脳裏をよぎる。
((難逃れ…?、幸せ…??))
ヌメッとした露天の湯が心地いい!手足の指先がジンジンする。身体の芯まで温まる。
湯上りの宴会場。リーダーの作戦が功を奏したらしい。
「ここの天ぷらは美味しい!」
そのフレーズがみんなの頭に刷り込まれていた。
『本日の薬膳天ぷら、完売!』
((でも何よりも、みんなの笑顔が一番おいしかったかも…。))
リーダー、そして皆さん、今日も本当に楽しい山行をありがとうございました。
雨降りなのに、心も身体もポッカポカになった一日でした(^O^)/
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