【日程】 2010年7月30日(金)~8月2日(月)
【行程】 扇沢~爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳~五竜岳~唐松岳~白馬鑓温泉~猿倉
【メンバー】 3名
[7月30日]曇りのち雨
前夜23:15新宿発の毎日アルペン号で扇沢へ。
爺ヶ岳登山口(5:20)-種池山荘(9:20~10:00)-爺ヶ岳南峰(10:50)-爺ヶ岳中峰(11:20)-冷池山荘(12:40)
バスは4列シートの普通の高速バス。ほとんど眠れないまま、扇沢に予定時刻に到着。他の乗客を降ろしてから爺ヶ岳登山口まで戻り、私たちを降ろしてくれる。登山口から種池山荘に続く柏原新道は話に聞いた通り歩きやすい。ただ荷物が重い。昨夜、仕事を終えてからあまり吟味せずにパッキングしたら、20kgを軽く超えてしまった。水と人間用液体燃料だけで5~6kgある。どうしても重ければ、水は買えるので捨てればいい。曇っているのでそれほど暑くはないが、汗がジワーと湧いてくる。ベンチやケルンを通り過ぎ、石畳状のところも出てくる。道はきれいに整備されている。八つ見峠とかいう看板があった。本来なら八ヶ岳が見えるのだろうが見えない…。稜線は見えている。種池山荘も見えた。見えてもまだ先は長い。鉄砲坂という最後の登りを頑張るとお花畑と種池山荘が迎えてくれる。
地デジ用アンテナの交換作業をしている下で大休憩をとり、お花畑の中を爺ヶ岳南峰に向かう。山頂の展望はなし。分岐にザックをデポして登った中峰からも何も見えない。ガスっている中、ほぼ平坦な尾根道を歩き続けると冷池山荘に到着。増築したという小屋はかなり大きい。かけつけ生ビールを小屋の前で堪能してからテン場へ。小屋とテン場の距離がちょっとある。生ビールおかわりのアプローチにしては長い。かけつけで飲んでおいて良かった。テン場はすでに半分ほどが埋まっていた。10人程の中高年のパーティも幕営のようだ。天気は微妙だが気持ちがいいので、テントの外で小宴会。マンゴーかぶれのためMさんは飲まないので、AちゃんとEでちびちびやる。きょうの食当はMさん。ほぼ作り終わった頃に雨が降り出す。出来上がった野菜カレーはおいしかった。寝不足と明日に備え、早めに寝る。
[7月31日]曇り時々雨
冷池キャンプ場(4:35)-布引岳(5:35)-鹿島槍ヶ岳(6:30~6:40)-キレット小屋(8:40~9:30)-北尾根の頭(11:45~11:55)-五竜岳(14:20~14:30)-五竜山荘(15:20)
朝まだ雨が少し残り、風も強めに吹いていた。八峰キレットの通過もあるので予定より早めに起床するが、天気予報を聞き様子をみてから出発する。テント撤収時にハプニングが起こるが、事なきをえた。
布引岳まではお花畑と小さな池が、ガスと風で下降気味の気持ちを和ませてくれる。鹿島槍(南峰)到着時もガスは晴れない。さっさとキレット小屋に向かう。鎖場とハシゴをいくつか通過し、最後に急な下りを下りるとキレット小屋だ。よくぞこんなところに建てたと感心するほどの場所にある。風を避け小屋の中で暖かい飲み物を飲み、ゆっくりと休む。ここから五竜までのコースタイムは5時間。後続のソロ男性の中には種池山荘からの人やなんと扇沢からという人もいた。反対コースの五竜や唐松からのパーティのほうが多いようだ。しかも中高年で大人数のものが多かった。でも中には女子大生2人組(しかも幕営)のパーティも。就職が決まっている4年生のようで、灯会のアピールをしておいた。そんな出逢いをしながら北尾根の頭までくる。ガスが徐々に切れてきて五竜がその姿を見せてくれる。それに続くキレットも見えてくる。五竜方面からG5を越えようとしている対向パーティがみえる。鎖場にかなり時間がかかっている。中高年パーティだ。彼らの通過をかなり待つ。先頭の男性に聞くと13人のパーティだという。後続がなかなか来ないので先に行かせてもらう。しかし、ああいうパーティを率いるリーダーは大変だ。ちらっとトムラウシのツアー登山を連想してしまう。こういうルートでは、できればもう少し人数を絞ったほうが行動時間も短縮されるのにと思う。これからも無事に山行を続けられるように祈る。自分たちも落石に気を付けながら五竜への登りに向かう。登り切ったところから少し先が山頂だった。切れていたガスがまたかかってしまった。展望を楽しめないのであとはビールを楽しみに五竜山荘に下る。小屋泊りの登山者たちが空身で登ってくる。子供連れの家族もいる。小屋は混んでいるようだ。キャンプ場も混んでいた。すでにテントがぎっしりと張られていた。小屋の了承をえて、小屋の前の広場のベストポジションに張ることができた。ここでなんと一人で来ていた会のAくんにばったり会う。そしてまた奇遇なことに、2週間前に東北5座で一緒だったRちゃんがAくんの隣にテントを張っていた。お互いびっくりの再会。以前もテン場で知り合いにばったり会ったことがある。山の世界って意外と狭い!?
かぶれが落ち着いたMさんも一緒にビールを飲みながら、晴れてきた空の下で食事の支度をする。途中で抜かしていった健脚ソロ男性3人も自然に加わり話が弾む。3人ともとても感じのいい方たちで、彼らにも灯会のアピールをしておく。ひとしきり話をするとパラッと雨が降ってくる。解散してテントに戻る。少し後でAくんがまた来てくれて、しばし盛り上がる。私たちが明日向かう白馬鑓温泉はすごくいいと絶賛してくれる。明日が楽しみだ。小屋のそばなので明るいし、トイレまで近いのがいい。9時頃まで外で話している人たちもいた。
[8月1日]曇り時々雨のち晴れ
五竜山荘(5:00)-唐松山荘(7:20~8:00)-唐松岳(8:25)-不帰Ⅱ峰南峰(9:00)-天狗の大下り下(11:20)-天狗の大下り上(12:20)-天狗山荘(13:40~14:00)-分岐(14:30)-白馬鑓温泉(15:55)
4:00前にAくんが出発すると挨拶にきてくれる。天気はばっちり。健脚ソロのSさんも出発前に挨拶してくれる。私たちがテントを出る頃は峰々がシルエットで見える。五竜と白岳にはヘッドライトの灯りがいくつか見える。今日こそいい天気だと喜んだのもつかの間。歩き出す頃には徐々にまたガスがあがってくる。唐松山荘に着く頃には、風も強くなり寒い。またしばらくきれいな小屋の中で休む。地デジテレビがきれいに映っている。下界の天気は良いらしい。Sさんも唐松岳を登ってきて小屋に戻ってきていた。しばらく様子をみていて、八方尾根から下ることに決めたようだ。私たちは覚悟を決めて白馬方面へ向かう。小屋の外へ出たところで、今度はなんと会のOさんにばったり。やはり山の世界は狭い…。
唐松岳の山頂を経由し、いよいよ不帰キレットだ。気を引き締めて進む。ところが、いきなりⅢ峰は西側を巻いて通過してしまった。ではⅡ峰がすごいのかと思いつつ登っていくとすぐに南峰に出る。そこからやっと鎖場と梯子が出てくる。昨日、八峰キレットを越えてきているせいか不帰は大したことないように感じた。あっという間に天狗の大下りの下に着く。下から見るとキレットよりもこちらのほうが核心部のように感じる。ここを下ってきた人が、あそこは登りたくないと言っていたのを聞いたので尚更だ。ガレ場の登り、落石に気を付けながら登る。九十九折りの道がいつまでも続く。上を見ても終わりが見えない。ただ黙々と機械的に足を動かす。荷物が肩に食い込む。1時間かけて登り切る。登ってしまえば意外とあっけなかった。
天狗山荘まではお花畑が両側に広がる。もう少し天気が良ければハミングしながら歩いてしまいそうなルートだ。時折、青空が垣間見られる。青空が出ると本当に気持ちいい。だが風は相変わらず強い。風が避けられる場所で休みたいが平坦で何もない。多少、風が緩むところで一本。その先、東面に残る雪渓が巨大だ。さらにすすむと登山道を示すロープが張られている。ということは…とまわりを見るとコマクサがところどころに咲いている。小屋も近いのだろう。雪田も現れる。天狗池の向こうに天狗山荘があった。水は摂り放題。冷たくて気持ちいい。小屋に入り、かけうどんを3人で食べる。塩気と温かさが胃にしみておいしい。小屋泊りの人たちがすでにビールやウィスキーを飲んでくつろいでいるのを横眼に鑓温泉を目指す。そうそう、ここに来る途中で聞きなれない鳴き声がする方向をみると…なんと雷鳥の親子連れを発見。まだヒヨコサイズのヒナ鳥が4羽。母鳥のまわりをチョロチョロと動き回っている。チョー可愛い!あの鳴き声はヒナ鳥への呼びかけの声なのだろう。しばらく立ち止り見惚れてしまった。
小屋を出て歩き始めると雨も降りだす。白馬からのパーティ何組かとすれ違う。鑓温泉の分岐を下り出すと風も弱まる。お花畑が続いている。少し下ると硫黄臭もしてくる。温泉は近い、そしてビールも!ゆっくり下りているパーティを抜かしていく。途中で鎖場が何ヶ所かある。右手に雪渓がみえてくる。小屋もみえた。今日の行動もやっと終わりだ。
テン場の受付を済ませて、とりあえずビールを飲む。旨い!温泉は混浴だが、女子風呂もある。午後8時~9時は混浴風呂と女子風呂が入れ替わる。風呂場を通り、テン場に下りる途中に足湯もある。テン場の横にはかけ流しの温泉がゴーゴーと流れ落ちている。ものすごい湯量だ。いつのまにか天気も回復し、テン場からの眺めは最高だ。テントを張るときにまたもやハプニング発生。今回もどうにか乗り越える。そしてやっと温泉に入る。誰もいない貸し切り状態。お湯はやや温めの白濁湯。屋根が半分あいている。青い空に月が見える。窓からは東側の山並みが見える。一気に極楽に突入。今まで流した汗がこの極楽に導いてくれたのだ。努力は報われる。
後から都立高校山岳部の2年生3人が入ってくる。先生4人を含む21人で来ているという。さらに3年生3人も入ってくる。女子風呂のあと水着で混浴に入るらしい。彼らはインターハイに出場するという。こういう元気な若者が山にもっと増えてくれるといい。
風呂上がりにもビール。明日は下山するのみ。きょうはゆっくりと最後の夜を楽しむ。テントの前には雲海と山並みが広がっている。それを眺めながら夕食。隣には、神奈川からきている男性2人と女性1人のテントが一張りずつ。職場の友人で山を始めたとのこと。ガイドブックなどを見ながら、優しい山から徐々にステップアップして独学で登ってきたらしい。今は山岳会に入るという考えは余りないのだろうか。ここでも灯会のアピールをしておく。
午後8時を過ぎ、混浴風呂が女子風呂になったので入りにいく。すでに時間前から待っているおば様たちが入っていた。Mさんは明るいうちにもすでにこちらの風呂は体験済み。Aくんが絶賛するのも頷ける素晴らしい風呂だ。おば様たちが出て行ったあとは、2人で貸し切り。広い風呂で泳いだり、ゆったりと横になってしばしウトウトしたり。満天の星空の下、もう何も言うことはない。長い一日は極楽気分で締めくくられた。
[8月2日]晴れのち曇り
白馬鑓温泉(7:45)-小日向のコル(9:20)-林道出会(10:40)-猿倉(10:50)
下るだけの一日の始まりはのんびりとスタート。テントの中からご来光を拝み、贅沢に朝風呂にも入る。またも貸し切り。窓から朝日がしっかり見える。今日はいい天気だ。朝食を済ませた頃に荷揚げのヘリがやってくる。風圧で飛ばされないように注意。あっという間にやってきて去っていった。ご苦労さまです。
小屋泊りの団体や幕営のパーティがぞくぞくと下山していく中、テン場の最後のパーティになってしまった。
猿倉からのバスが10:15の次が12:30なので、急いで下りても下で待つだけなら上でゆっくりしようという考えだった。雪渓を歩くところが何カ所かある。アイゼンを付けているパーティもいる。付けなくても大丈夫そうなのでそのまま行く。調子よく下り、先行パーティをいくつか抜かす。もしかすると10:15のバスに間に合うかもというスケベ心が出てややペースを上げたりもしたが、ゆっくり行くことにする。それでも、福島からのツアーと都立高のパーティをごぼう抜きにして、猿倉に着いた。猿倉ではMさんは生ビール。Aちゃんはキリンレモン。Eは抹茶ミルクかき氷を食べる。三者三様。ミルクおまけしてねと頼んだら気前のいい店員のお兄ちゃんがたっぷりとかけてくれる。おいしかったぁ。こんなそばにいるのにお兄ちゃん二人は白馬にまだ登ったことがないらしい。そのうち休みを取って行きたいという。今はかきいれ時だから休めないのだろう。
結局、バスを待たずにタクシーで八方の第一郷の湯へ。3人で乗ればバスと料金もほとんど変わらず時間がセーブできる。ただ、温泉は12時からだった。足湯に浸かりながら開くのを待つ。下りでかいた汗をさっぱりと流して、手打ち蕎麦屋「林檎舎」に向かう。3人とも「そば三昧」を食べる。3種類の付け汁がそれぞれおいしい。生ビールもおかわりしてしまう。もう満足しきって、新宿直通の高速バスに乗る。Aちゃんが手配してくれて、なんと新宿まで1900円。往きのバスよりゆったりした感じで、意外と空いていたのでシートも3人で2列使い。平日ならではの恩恵だ。このバスは上信越道を使うので横川の釜めしを食べることができた。そして定刻通り20:30に新宿に到着。4日間お疲れ様でした。久しぶりに充実した縦走を楽しめた。Aちゃん、Mさん、いろいろありがとうございました。
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