日程 :2010/9/18~9/19
メンバー:6名
1日目
広河原7:00発→二俣9:20→八本歯コル11:25→(左俣コース)北岳山頂13:10→(北岳西側斜面)中白峰沢ノ頭取付点15:45→17:00両二俣小屋着
前日に芦安入りしていたメンバー全員は朝一のバスで広河原に移動し、
まずは北岳を目指して出発することとなった。
しばらくは樹林帯を歩くが、そのうち沢に平行した見通しのいいコースとなった。
空はきれいな青空で、前方を見上げれば荒々しい岩壁の北岳がばっちり見え、後ろを振り向けば北岳に向かい合った早川尾根の峰がこれまたはっきりと見渡せる日焼け要注意のいい天気である。
今日は山頂からの眺めがきっとすばらしいに違いない、とかなり期待して登って行ったが、8本歯のコル手前辺りにきた頃からガスが立ちこめてしまい、今まではっきりと見えていた広河原対岸の早川尾根は煙にまかれて姿が消えてしまった。8本歯のコルまでは,はしごと階段が連続し、この垂直運動のせいで,腿には疲労がたっぷり溜まった感じになった。この辺りから鮮やかなオレンジ色のシャツを着た白髭のおじさんと歩行ペースが同じになって,お互い先に行ったり行かれたりとなった。この方は山歩きの指導員なのか、所々で「はい、道をふさいで休憩しないでください」とか他のハイカーにいろいろ注意をされいた。一度などは、上から勢いよく下りてきた男性ハイカーが制止し切れずぶつかりそうになってしまい、「危ないから気を付けて!」と強い口調でを注意したものだから,その男性ハイカーはすっかり恐縮してしまった。男性ハイカーはオレンジ色の指導員に丁寧に詫びた後、その下で道を譲った僕達にまですごく低姿勢でお礼を繰り返すすごく腰の低い人になってしまい,僕としては気の毒な程であった。
8本歯のコルから更に1時間程ガレ場を登り,やっと北岳山頂に辿り着くことができた。相変わらず視界はよくないものの、最初の大物ピークを踏んだことで皆一同大喜びであった。皆で喜んでいると、程なくしてさっきのオレンジ色の指導員が上がってきた。しかも僕らに(正確には福島出身のSさんに)声をかけてきて、ノートにサインをしろとせがみ始めたので、てっきり芸能人の空似と勘違いしてしまったのかと思ったが、そうではなく,実はオレンジの方は北岳を登頂する毎に,記念に行き会った登山者に一筆書いてもらうのを習慣にしており,なんと今回の北岳登頂が174回目とのビックリの登頂回数あった。そう言われてよく見ると、身に着けているオレンジのシャツや帽子にには”北岳”の刺繍がされており,確かに正真正銘の"北岳の主"のようであった。登頂回数も去ることながら、更にその方の年齢が76歳と聞いて皆またビックリしてしまった。その年齢にもかかわらず元気に北岳に登頂していることに皆がすっかり感心していると、北岳の主は,自分が若い頃の写真や解説まで書かれたB4くらいの紙の束を取り出し、昔は水泳選手であったことや有名選手と一緒に写った写真を指差して解説してくれた。皆一同とても感心し、今後も元気に北岳登頂の記録を伸ばしてくださいと応援をして別れた。灯会にも同年代のNさんご兄弟がおられて今でも元気に山を登られている。自分がその年になった時、果たしてそんなにパワフルでいられるかと思うと、とてもそんな自信はないので,すごく感心してしまったのであった。と同時に、あの北岳の主はいつもあんなかさばる紙の束を持って北岳をお登りになられているのだろうかと不思議にも思った。
さて、北岳から両俣小屋まで下る道はメンバーの誰も歩いたことのない初体験ゾーンなので興味深々である。しばらくは見通しのよい気持ちいい尾根コースが続き徐々に高度を下げた後、樹林帯に入って更に下った後,中白峰沢ノ頭取付点の沢に出くわした。そこは2本の滝が出会うなかなか絶景な場所であった。そこからは沢伝いに下るコースになるのだが、これが沢を何度もじぐざぐに渡る、進行方向よりも横方向の移動距離の方が長いのではないかと錯覚するようなコースで、平地が少ない限られた地形によくぞこのコースを作ったものだと,作られた方の苦労が感じられる道であった。先頭を行くTリーダーは、既に日が傾き薄暗くなりかけてきた中で,コースの目印を見失わないようにかなり慎重になっておりその緊張感がひしひしと伝わってきた。そんな緊張した雰囲気の中で,僕も川沿に実のっている熟した野イチゴをつまんで食べたりしながら,気を引き締めて沢沿いを進んで行った。そしてリーダーの慎重且つ冷静な判断のお陰で、遂にその日の目的地、両俣小屋に到着することができた。
両俣小屋はとても小さな小屋で,3連休にもかかわらず混んでいる様子もない落ち着いたとこであった。皆は早速その日の労を労ってお酒を楽しんだ。お酒が飲めない僕はその楽しみはよく理解できなかったが,その日の献立である豚鍋はかなり楽しむことができた。この豚鍋は生姜が効いた絶品メニューなので興味のある方は是非Kさんにレシピを伺うといいと思う。
本日は皆さん睡眠不足の中,長時間の歩行どうもご苦労様でした。
2日目
5:20両二俣小屋発→野呂川越6:10→横川岳6:50→高望池8:20
→12:00仙丈山頂→北沢峠
本日も歩行時間が10時間程かかる長めのコースなため,夜明けとともに出発となった。まずは,仙丈ヶ岳から続いている仙塩尾根に上がるため,出だしから登りとなる。樹木の間から差し込む日の光がどんどん明るくなってきた。今日は朝から快晴である。やっとの思いで尾根に出ると,そこからの尾根道は時折視界が開け,富士山や甲斐駒,地蔵のオベリスクがはっきり見える超気持ちいい稜線コースになった。北岳までの芋洗いコースと打って変わって,行き交う人もあまりいない静かな樹林帯である。静かなのはうれしいのだが,何せ熊が恐いので皆で熊鈴の音を全開にして歩いた。中には熊鈴をもっていないため声で熊避けをしている人もいた。その甲斐あってか,道中熊さんには出会わずに済んだ。遠くに,姿もかっこいい甲斐駒がまるで雪を被っているように見えて,とてもきれいだった。なんでも甲斐駒は花崗岩が剥き出しの岩岩の山なので,遠くから見ると雪を被っているように白く見えるものらしい。実は,自分は明日あの甲斐駒にも登る予定なので,そのきれいな姿を見ていたらかなり興奮してきた。前方の仙丈もどんどん迫ってきて,今日はあのピークも踏むんだと思うと,益々興奮してきて早く頂上に行きたくてしかたなくなった。しかし気持ちいい稜線歩きも仙丈の手前にある大仙丈の急登が始まると,興奮のエネルギーまで吸い取られてしまったのか,へなへな状態でやっと仙丈の手前にある大仙丈に辿り着いたのだった。ここまでくると仙丈はもう目の前である。大仙丈と言っても実は仙丈よりも標高は低くて,大仙丈:2975m に対して仙丈:3033mであり,向こうに見える仙丈の方がやはり高く見える。だからなのか仙丈の方はえらい人気で,頂上には大勢の人が,まるで沢山のピンが頂上に突き刺さっているように見えた。仙丈の頂上の混雑ぶりに対して大仙丈はガラすきで僕らしかいなく,しかもここからの眺めは絶景である。この超お勧めの穴場的山頂でゆっくり休みたいところでもあったが,早く今回のメインイベントである35周年記念パーティ会場で宴会を始めたいという皆のご意向が非常に強く,早々に激混みの仙丈ヶ岳へ急ぐこととなった。実は大仙丈に着いた頃から気になっていたのだが,遠くで何か悲鳴のような叫び声が時折聞こえていたのだった。もしかしたら誰か遭難でもしたんだろうか,などと不吉なことを考えながら進んでいくと,人が一人頂上に立っている小ピークが見え,どうもその人が僕らに手を振っているように見える。しかも叫んでいるその声は,先ほど聞いた叫び声であった。僕はてっきりどこか知らない登山者が声を枯らして助けを求めているのかと思ったが,なんとその声の主は,ハスキーボイスで知られている灯会のHさんであった。Hさんは,そろそろ僕らが仙塩尾根コースから仙丈に到着するはずだとふんで,仙丈の頂上で2時間もTリーダー率いる仙塩尾根組を待っていてくれたのであった。山頂では会のMさんも僕らのことを待っていてくれて(聞いた説明によると,Hさんは僕らの出迎え,Mさんは僕らの記念撮影の場所取り(?)の係をしていてくれたらしい。二人とも「俺達は仕事をした!」と胸を張っていた)仕事の内容はともかく,お二人が2時間近くも頂上で待っていてくれたと聞いて,正直僕はかなり感激した。山頂で,別の山行パーティーと行き会うという”ビックリ”が起こることに,会の山行に参加させてもらっている楽しさを感じた。
僕らは山頂で真近に見える大きな甲斐駒や,近くに見えるようで実は遠い富士山の絶景を楽しんだ後,名残惜しみながら下山を開始した。そして一同が今回イチバン楽しみにしていただろう,35周年記念パーティに参加をさせてもらったのでした。
2日とも天気に恵まれとっても楽しい山行になりました。リーダーのTさんをはじめ,皆さん本当にどうもありがとうございました。
スポンサーサイト
- ▲
- 2010-10-17
- 縦走
- トラックバック : -
コメントの投稿