
行程:
2012年5月3日(木) 19時 八王子駅集合=道の駅アルプス安曇野 前泊
5月4日(金) 登山口(9:18)~大滝ベンチ~1900沢合流点 (11:50)~常念小屋(14:40)
5月5日(土) 常念小屋(6:20)~常念岳(8:20)~常念小屋(9:40)~往路戻る~登山口(12:30)
メンバー:5名
5月3日(木、前日)
連休前半は好天に恵まれたが、5月2日から3日かけて太平洋側を低気圧が発達しながら通過し東海地方で豪雨とのニュースもある。しかし山行予定の4日からは回復傾向である。長野県中部のアメダスによると、現在までの降水量は少なく、融雪・雪崩の心配も少ないようだ。天気が不安定との予報が気がかりだが、予定通り出発する。
八王子に集合し車で中央道を走ると、西の空は明るく天気は順調に回復・・・と思いきや、八ヶ岳の辺りでにわか雨。豊科インターを降りると本降りの雨となった。道の駅アルプス安曇野には体育館があり、雨を除けるのにちょうど良い場所があったのでテントを張る。雪崩が怖いので、明日も本降りの雨だったら無理して登らずに松本城でも見物しようか、などとへらず口をたたきながら眠りにつく。
5月4日(金)
明け方は雨が残っていたが、二度寝して目を覚ますと雨があがったよ、との声。雲も晴れてきており天気は回復の模様。気を良くして登山口に向かう。登山口には多くの車が並んでいるが、夏のシーズンのように車が溢れるほどではない。登山指導所が開設されており計画書を提出する。注意事項の掲示では、一ノ沢の雪はおおよそ落ち切ってしまい雪崩の危険は少ないが、沢の出会い等では小雪崩に注意とのことである。天気も順調に回復しており上機嫌で出発。我々の他にも数組のパーティーがいるが、年配の方が多い。この一ノ沢のルートは冬山ルート集での紹介が無いので、情報に頼る若者よりも、第一線を退いたベテランが好むルートなのかもしれない。
一時間ほど歩いて大滝ベンチの辺りから残雪が現れる。左岸の登山道沿いに、さらに一時間ほど歩くと、標高1900メートル付近の沢の合流地点に着く。右岸の沢から大きな雪崩の跡があり、沢の中はデブリで覆われている。デブリの上に点々と赤旗が立てられ、左岸に沿っての冬道に渡るようになっている。早足にデブリの上を渡り、右岸の安全そうなところでアイゼンを装着、ストックをピッケルに持ち替える。ここからは夏道を離れて沢筋の雪渓を踏むルートとなる。最初は傾斜は緩やかだが、沢を登るにつれて徐々に傾斜はきつくなる。標高2100の辺りで常念乗越からの尾根に突き当たり、その左の沢沿いを登る。視界が良く赤旗が明瞭なのでミスコースの心配もない。やや体調の悪い人もいるので、先を急がず景色を楽しみながら登る。傾斜は最も急な所で30度程度、雪も柔らかく、滑落の心配なく雪渓登りが楽しめる。左に常念の尾根を見ながら沢を詰めると、常念小屋に到着。ここは天気が良ければ前方に槍ヶ岳の大パノラマが広がる所だが、ちょっと雲が多い。
常念小屋では、我々5人に6畳の個室をあてがわれる。一ノ沢を登る人の他、燕岳方向、蝶ヶ岳方向それぞれからの縦走の中継地点となる小屋なので宿泊者は多く、夕食は二回戦をやっていた。
5月5日(土)
青空の下、ヤッケを着て出発の準備をする。どっしりした山容の常念岳への斜面は、雪が飛んで地面が出ており、山頂を目指して沢山の人が登っている。常念岳へは小屋から夏道で1時間強の登りなので空身で行く人もいる。我々はザックを背負い、とりあえずアイゼンはつけずに出発する。風は強く風速15メートル位だろうか。しかし天気が良く気温も高いので寒くは無い。風ぐらいあったほうが雪山らしくて良いやと思いながら、フードを被って歩を進める。半分程度登ったところで雪が出るようになったのでアイゼンを装着。尾根が右側に曲がるのを上りきると山頂。ゆっくりのペースで2時間弱、やはり雪山は余計に時間がかかるようだ。
山頂からの景色を楽しんだあと、風も強いのでそそくさと下る。常念小屋までの下りは1時間もかからない。常念小屋の前で槍ヶ岳の穂先が一瞬だけ顔を出した。常念小屋の前からは、昨日登ってきた雪渓を下ることとなる。先を行くパーティーは嬌声を上げてシリセードに興じている。下り道は足も速く12時過ぎには登山口に降りた。
おわりに
一ノ沢から常念岳に登る往復のコースは、技術的に難しいところが少なく北アルプスの春山登山が楽しめ、悪天候などの時は常念小屋に避難ができる。途中の沢沿いでは雪崩、落石に注意が必要だが、この時期の雪渓コースには共通するリスクと思う。途中で体調が悪い人が出てもプレッシャーも感じず、我々のレベルに合った良いコースだと感じた。
一方で、もう少し難しい稜線の縦走コース、たとえば燕~大天井~常念の縦走などは、安易に手を出すべきでは無いなと感じた。今回は風が強かったが、さらに雨が混じった状態で逃げ場の無い稜線を何時間も縦走するとなると、一人でも調子の悪い者が出れば遭難するだろう。報道によると5月4日に北アルプスでは8人の死者が出たそうである。雪山登山の場合、「お天気が良ければ大丈夫だよ」という考えで登ってしまうのは、まったく大丈夫ではないと思う。
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- 2012-05-15
- 登山
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