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岩櫃山

山名:岩櫃山802m
日程:2013年4月27日(土)
メンバー:12名
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 吾妻線郷原駅10時30分集合。長い列車の旅を終え、駅舎を出る。振り返ると、線路の反対側に、なだらかな低い山並みの中でひときわ異彩を放つ容貌魁偉な山塊、これが今日のお目当て、岩櫃山である。眼前の淡い新緑の中から真っ青な天へ向かって屹立する黒い複雑な露岩の頂きは壮観だ。低山ながらこの偉容は人を呼び寄せる価値が十分にある。
 それを右手に仰ぎながら、明るい陽射しを浴びて、のどかな山里の舗装道路を30分ほど緩やかに上っていくと、密岩登山口。それより前に赤岩登山口というのがあるが、われわれはここから山道に入る。頂上までほぼ1時間というから、さしたる行程ではないが、山頂下の肩まで山腹を一気に上る小径はかなりの急登である。その先は吹きさらしの露岩を鎖や垂直に立てられた鉄梯子をつたって登る、かなり危険度の高いアルバイトの連続で、この山の目玉ともいえる。おまけに今日は風が強い。岩壁を下から吹き上げる風が恐怖を煽り、鎖から手が離せない。緊張に身体がこわばる。吹き飛ばされそうになるのをこらえ、風が止むのを待ってそそくさと登る。途中「天狗の架け橋」と称する道幅の狭い太鼓橋のようなところがある。迫り出した岩壁に穴があき、その上が径になっているのだが、ぼくはそこを避け、Yさんに導かれてより安全な巻き道を辿った。君子は危うきに近寄らぬと言いならわされるが、こわい、こわいと言いながら、及び腰でそこを渡ったほかの人たちは何者なのだろうか?
 正午、辿り着いた山頂は狭い。最高点はひと二人が立つのが精一杯。中央に立つ旗竿のようなポールにしがみついて、吹きすさぶ風に耐えながら発した「おいちゃん」のひと言がこれまでの苦闘を物語る。「エベレストの山頂に立った気分はこんなんだろうな。」
 一行12名がゆったり腰を据えるスペースも冷たい風をさえぎるものもないので、昼食はあと回し、記念撮影ののち、ただちに下山開始。下りは下が見えるので不快きわまりない。いちばん大きな露岩ではYさんが念のためぼくの腰にロープを巻きつけてくれた。神妙にお縄を頂戴したぼくは、もう一方の端をOさんに託して慎重に下る。山梨百名山の鋸岳ではTJさんのロープに引っ張られてガレ場を登った。そのときOさんは上からそんな様子をカメラに収めていた。今も状況が似ている。ひもつき男の残像が彼女の眼底にとどまらねばよいが。
 全員無事に難所を降り立って、30分間昼食休憩ののち、隣の群馬原町駅を目ざして平凡な山道を淡々と下る。途中594m高点に岩櫃山城址ガある。そのかみ、久能山城、岩殿山城と並んで武田の三堅城とうたわれた。真田幸村も幼少年時代をここで過ごしたという。今はその面影はないが、当時はかなり広かったらしい。合戦の鬨の声がまだその辺りに残っているような…
 今回もいろいろ気配りを頂戴した。ありがたくも楽しい山行だった。駅手前で、岩櫃城温泉へ向かう一行と別れて先にひとり帰途につく。2時20分。陽はまだ高い。



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