日程:2013年7月7日
メンバー: T(L)、H、I、U、N、MZ、MN、IS

例年より早い梅雨明け宣言が出たばかり、雨の心配こそないものの、早朝から強い陽射しが降り注ぎ、予報では34度の猛暑日、熱中症への不安で及び腰の参加だったが、集合場所の河口湖駅に降り立った瞬間、大気の肌触りが実に爽やか、東京の蒸し暑さが嘘のような涼風が、富士山世界遺産を祝う幟をはためかせている。
登山客を満載した富士五合目行きのバスが一足先に出てゆく。9時発天下茶屋行きのバスにはわれわれ一行のほかにはちらほら、三つ峠登山口で下車したのはわれわれだけだった(9:25)。しばらく舗道を辿ったのち、山道に踏み入る。ひんやりした風の吹き通る沢沿いの樹陰を緩やかに上ること20分余、このコースのハイライト、母の白滝が眼前に。少雨のためか、水量は少ないが二条の流れが高さ20mの岩壁を、飛沫を散らして滑り落ちる。ひたひたと冷たい霊気が身に迫る、幻想的な場所だ。あとでわかったことだが、この場所と、知ってか知らずかわれわれがカットした登山口近くにある富士浅間神社の二カ所は、富士山一帯での有名なパワースポットなのだそうだ。われわれが辿ろうとしている道はまさにパワースポット巡りのコースなのである。それとも知らずに(?)われわれをここへいざなったリーダーの罪は重い。あらかじめそれを知って通るのと知らずに通るのとでは効き目が随分違うだろう。これは「気」の問題なのだから。
白滝の上は滑床になっていて、もう一段小さい滝がある。下からは見えないが二段滝である。その先にも高い水爆があるが、こちらは人工の堰。堰堤を梯子で乗り越えると、道は徐々に沢を離れ高度を上げていく。いつしか水音が絶えたころ、鉄塔の下で(10:30)林道をよぎるが、ショートカットするようなかたちですぐまたもとの林道に復し、しばらくそれを辿る。
カチカチ山ロープウェイ方面からの新倉林道との出会いで、道はふたたび登山道に入り、急に斜度を増す。ここから木無山山頂まではひたすら我慢だが、さいわい木はまだある(!)ので、木陰を渡る涼やかな風に乗って足取りは軽い。
樹林が途絶え、ぱっと明るい目の前に傘雲を置いた富士の雄大なパノラマ。山頂は少し先だが道は平坦な遊歩道となり、振ってわいたように大勢の人たちが行き交う。両脇のお花畑にちらほらとアヤメの残り花。
12:30木無山山頂。前方の開運山の顔とも言うべき屏風岩に眼を凝らすと、結構な数のクライマーたちが取りついている。130mにおよぶこの垂直な壁は名だたるクライマーを育てた、関東有数のクライミングのメッカとして知られている。あえてそれに異を唱えるものではないが、たしなまない者にとっては顔に泥を塗る行為でしかない。
12:45 三ツ峠の最高峰開運山山頂。昼食、記念撮影ののち、一行は二手に分かれ、三ツ峠駅下山口で落ち合うこととして、メンバーの一部はさらに御巣鷹山へ脚を伸ばす。この頂きはアンテナが立つだけで何もない。愛想のない山だ。申し訳に金網のフェンスをぐるっと一回りして引き返す。
14:00 木無山から達磨石を経て、三ツ峠駅へ下る下山路に入る。足元の悪い急な坂道が屏風岩の基部を過ぎてなお蜿蜒と続く。上らなきゃ、こうして下ることもあるまいにと、いつもながら後悔の一途。三ツ峠へのコースは6本あるが、昔は三ツ峠駅からのこのコースがメーンルートだったそうな。その長さとハードさから今はここを上る人は少ない。同時にいにしえは信仰の道でもあった。今もそのあとを偲ばせる遺跡が路傍に散在し、歩くことに倦んだ心を僅かに慰めてくれる。なかでも八十八躰供養塔は異様だ。深山の広い急斜面に白いエプロンを巻いた八十八の小仏がひそやかに座し、その下には空胎上人の墓標が立つ土饅頭。そのとき澎湃とわが胸中に沸き起こった、八十九躰目[の生き仏]としてその横に並んで坐ってみたい気持など、同行の若い方々には想像もつくまい。
それから1時間余でゲートの達磨石に到着(4:00)。その先は駅まで舗装道路だが、途中グリーンセンターの温泉で汗を流し、もちろん湯上がりの一杯も抜かりなく、5:45温泉の送迎バスで駅へ。みんな元気で、今回も楽しい山行だった。サービス旺盛なリーダー、ご苦労さん!
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- 2013-07-19
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