fc2ブログ

Entries

日高山脈 幌尻岳 (2052.8m)

【メンバー】S(L)、T、H、E
s-2151.jpg
【日程】2014年7月25日(金)‐26日(土)

【行程】前日: とよぬか山荘泊
1日目: 3:00専用シャトルバス~ 第1ゲート/ 4:10歩き出し‐6:05 第2ゲート‐7:00 渡渉開始‐8:25 幌尻山荘着/ 9:00山荘発‐10:30 命の水‐12:45 幌尻岳山頂着/ 13:00下山開始-15:30 幌尻山荘着
2日目: 3:35 幌尻山荘発‐6:55 幌尻岳山頂‐9:10 戸蔦別岳‐9:55 幌尻山荘分岐‐11:25 六ノ沢出合‐12:15幌尻山荘着/ 12:35 幌尻山荘発‐16:35 第1ゲート

【前日 晴れ】

帯広空港から2時間半ほどのドライブでとよぬか山荘に到着。

廃校となった豊糠中学校の校舎を利用した宿舎で、2段ベッドには清潔なシーツ、お風呂も洗濯機もある。
食堂でたっぷりのジンギスカンをいただき、明日からの英気を養う。

【1日目 晴れ-薄曇り】

朝2時起床、3時発の専用シャトル バスに乗り込む。
メンバーは男性ソロ4人、男女ペア2組、そして私たち女性4人パーティの計12名。
約1時間のバス移動の後、2時間ほどの林道歩きがあり、その後、この幌尻岳 平取コースの肝でもある額平川の渡渉が待ち構えている。
長い渡渉が心配で、他のグループにくっついて歩きたかったが、バスを降りるとみんな蜘蛛の子を散らすように歩き出し、私たちは最終グループになってしまった。

広々した林道を歩くうちにだんだん明るくなり、今日のお天気は心配なさそうだ。
ただ、明日、明後日は崩れる予報なので予断を許さない。

6時、林道歩きに飽きた頃、第二ゲートに到着。
ここから登山道となるが、いきなり鎖とヘツリで緊張する。
沢沿いの道をさらに行くと、どうやら渡渉スタート ポイントに着いたらしい。
何のマークもないけれど、ここからはもう飛び石では渡れない。各自沢靴に履き替える。
雪解け水の冷たさを心配していたが、凍えるほどではない。
水も深いところで膝くらいで、朝日が差し込む中、だんだん沢歩きが楽しくなってきた。
赤ペンキとテープを頼りに川を何度も渡り返し、2時間ほどで幌尻山荘に到着した。

当初の計画では、この日の行動は山荘までで、翌日幌尻岳に登頂し戸蔦別岳経由で一周する予定だったが、どうも明日後半からの天気が怪しい。
もし、明日の午後に雨でも降れば、川の増水により明後日の下山ができなくなるかもしれない。
最悪のシナリオとして明日下山することも考え、リーダー判断により、今日中にピストンで登頂しておくことになった。

急ぎ、濡れた沢道具を干して登山靴に履き替え、9時に登頂スタート。これから高低差約1000m、CT 7時間の行程だ。
展望の無い樹林と笹の中、しばらく急登が続く。
「命ノ水」の冷たい水でのどを潤す。
高度を上げて行くうちに、ガスの中、山頂方面も見えてきた。
道は岩場に変わり、ひとつピークを抜けると北カールの壁上に出る。
左手に大きなカールの底が見ながらなおも歩くと、いきなりお花畑が広がっていた。

エゾツツジ(ピンク)、エゾヒメクワガタ(紫)、エゾウサギギク(黄)、エゾシオガマ(白)、ミヤマアズマギク(紫)等々がびっしり!
「うわぁ、何これ!」、「お花が凄いんですけど!」、「え、ちょっと待って待って、これ撮りたい!」、
登山道からカールの斜面一面に広がる色とりどりの花々にすっかり心を奪われ、歩みも遅くなる。
ところが、山頂から下って来るパーティからは「こんなところで止まってちゃだめ、上はもっと凄いよ」と声をかけられる。
その言葉の通り、その後もチシマギキョウ、ミヤマリンドウ、イワブクロなど、お花尽くしが続いた。

気を取り直して山頂を目指す。
ガスが絶え間なく上がり、それを風が吹き飛ばして行く。
時折のぞく戸蔦別方面の稜線が美しい。
新冠コースからの分岐を過ぎ、12時45分、ようやく登頂。
朝4時からの林道歩きや渡渉が思い返され、思わずみんなでバンザイ!

下りも花に気を取られながら来た道を戻る。
小屋に着くと、外に広げられたブルーシートの場所を確保。
幌尻小屋は小屋内に持ち込めるのは寝具や衣類のみで、食事は外、ザックも小屋の下の保管所に置くシステムとなっている。
本日は金曜日ということもあり、ツアーで来ている20人パーティーの他は、ソロか、二人連れがほとんどで、スペースはたっぷり。
NHKのグループが百名山の取材とかで、カメラマン、ガイドと登ってきていた。

本日の夕食メニューは野菜たっぷりのカレー、ツナとオニオンのサラダ、海藻サラダ。
隣のグループにカレーを差し入れると、パスタ2種類になって戻ってきた。

食後は明日の作戦会議。いろいろ検討の結果、今日と同じコースから登頂、戸蔦別岳経由で一周し、一気に下山することになった。
日の出前スタートでも道は分かっているし、今日のペースで歩ければ最終のシャトルバスに乗れる目算だ。
しかし、林道歩きまで入れると、CTは13時間。
不安を口にすると、リーダーは「大丈夫、絶対無理はしないよ。みんなの体調が悪かったり、天気が崩れたりしたらすぐ引き返そう。」と言ってくれた。

小屋で貸してくれる毛布の上に、シュラフカバーとインナーシーツで寝床を作りながら、何度も地図を読み返す。
今日一度歩いているので、知らない道は山頂から先の七つ沼、戸蔦別岳、そこから急降したら最後に六ノ沢の短い渡渉があるだけだ。
お天気がもてば大丈夫なはず、とぐるぐる考える内に眠ってしまった。

【2日目 薄曇りのち雨】

2時半起床。ヘッデンをつけて3時35分歩き出し。雲が厚い。
昨日歩いた道なので気持ちは楽だし、みんな体調は良さそうだ。
ここを歩くの三回目だね、4回は歩きたくないな。二日連続で幌尻岳登る人もあまりいないよね、と笑いながら歩く。

目標がはっきりしているので、今日はお花畑も横目で愛でながらさくさくと通過。
カールを見下ろしながらの稜線歩きはやはり気持ちよく、昨日よりも戸蔦別方面がよく見渡せる。

7時前に山頂に到着。
一時、雨がパラッと来てみんな身構える。
今ならまだ引き返せるが、コースの半分を超えたら、後は進むしかない。
幸い雨はすぐ止み、目の前にはこれから辿る稜線がくっきり!
あそこを歩くんだとわくわくしてくる。

道はだんだん細くなり、ハイマツの中を泳ぐように歩く。
張り出したハイマツで歩きにくく、時折飛び出した枝に膝や脛を強く打ち付ける。
悪戦苦闘しながらようやく七つ沼を見下ろす鞍部に到着する。
沼に降りることもできるようだが、恐ろしいほどの斜度なので、上から眺めるだけで満足する。
しばらく途絶えていたお花畑も再登場。
山頂付近とはお花の種類がまた異なっている。
咲き終わったチングルマの大群生があちこちにあり、花の盛りはどんなだったろうと想像してみる。

最後の急登を耐え、9時過ぎ、戸蔦別岳に到着。
振り返ると大きなカールを抱いた幌尻岳の全容が見える。
ピストンしただけではこのスケール感は分からなかっただろう。
本当に名前の通り、ポロ(=大きい)、シリ(=山)だ。
あのカールをぐるっと歩いてきたんだなぁ。

惜しみつつ山頂に別れを告げ、分岐までの最後のお花畑を楽しむ。
分岐から幌尻山荘へ下るルートは文字通り転げ落ちそうな悪路だ。
左右両手で笹をつかみながら、がむしゃらに降りる。
緊張と段差の激しさに嫌な汗をかきつつ、長い下りをひたすら急いだ。

最後に背の高さほどもある笹原を掻き分けて進むと、いきなり沢にぶつかった。
ここが六ノ沢出合か?
ここからもう少しで小屋に着けるはずなのだが、小さなピンクテープがあるのみで案内はない。
先行していたソロの男性は地下足袋を着け、こっちだと思うけど、と言いながらあっという間に見えなくなる。

こちらも急いで沢靴に履き替え、男性の後を追う。
一旦沢のなかを歩き、石づたいに岸に上がる。辛うじて細い道があるが、すぐにまた沢に戻されてしまう。
また沢の縁を石づたいに歩く。こちらで良いのか、目印はないか、みんな必死で目標物を探し、行ったり戻ったりした。
まだ最終バスまでの時間はあるが、じりじり時間をロスしていく感覚が気持ちを焦らせる。
岩の上の小さなケルンが目に入り、これが目印らしいと分かった時は真底ほっとした。
ケルンを探し、沢と岸とを縫うようにして歩く。対岸の木々の間から小屋が見えた時は安堵した。

小屋で荷物を撤収し、大急ぎで下山する。
額平川の水は昨日より少し増え、水温もやや下がっている。
それでもペンキとテープはしっかりあるので、心強い。
まだお昼を少し回ったところだが、だんだん空が暗くなり、時々雨が時々落ちてくる。
雨具とザックカバーをつけ、数えて20回の渡渉とヘツリを無事経過し、林道スタート地点まで辿り着く。
ここまでくればもう危険なポイントは無い。
林道を歩いて最終バスに間に合えばOKということで、ひと休み入れながら沢靴を洗って登山靴に履き替える。

と、いきなり雨が降り出した。
土砂降りの中、安全な林道を感謝しながら歩く。
雨の中を休みなく歩き続け、16時半過ぎにバス停に到着。
実は悪天行による臨時便が出され、このバスは早めの16時30分出発の予定だったそうなのだが、
私たち4人がもうすぐ到着するだろうと待ってくれていたとのこと。
感謝しながらびしょ濡れのまま乗り込み、とよぬか山荘まで送ってもらった。

山荘ではお風呂に入り、濡れた登山道具を片付け、ガスコンロをお借りして夕食にありついた。

長い一日だったが、歩き通せて本当にラッキーだった。
また、沢山の人に助けていただいた山行だった。
例えば、大パーティに付き添っていた現地ガイドさんは、戸蔦別岳、分岐の迷いやすい点を教えてくれた。
また、山中追いついたり抜かれたりで声を掛けあっていた別の男性は、その分かりにくい分岐で待っていてくれ、
六ノ沢の渡渉では自身も何度か道を間違えたため、後から来るであろう私達のためにケルンを積み足してくれたと言う。
とよぬか山荘の管理人さんも、急な変更に嫌な顔ひとつ見せず、ガスコンロを貸してくれたり、濡れた靴を乾かすために新聞を沢山用意してくれたりした。

ありとあらゆる状況を想定して、臨機応変に指示してくれたリーダーには特に感謝です。
プレッシャーがかかる状態でも、常に明るくポジティブで、そのパワーに背中を押されて歩きました。
また、「この山行を最高のものにしたい」という強い思いを感じた3日間でもありました。
同行の皆様にも感謝、本当に充実した山行でした!
(なお、翌日からは天気が崩れ、シャトルバスも2便から欠便に。とよぬか山荘で足止めされている登山客もいた。)

【おまけ】
リーダーのご友人で帯広在住のTさんのサポートもあって、北海道観光も楽しんできました♪
・富田ファーム(ラベンダー畑で有名・無料)
・美瑛、かんのファーム(パッチワークの畑や風景で有名・無料)
・十勝川温泉 筒井 (レトロな温泉。ラドン温泉がすごい)
・六花亭本店 (イートイン コーナーもあって、無料のコーヒーを楽しみながらお買い物できます。おススメ!)
・ハゲ天(六花亭近く。天ぷら屋さんだけれど帯広名物の豚丼もGood)
・六花の森 (帯広付近にはガーデンがたくさんありますが、そのうちの一つ。こじんまりしてアートも楽しめる)
・幸福駅 (言わずとしれた幸福という名の駅。切符も買えます。エゾリスがいました!)

Tさん、長時間ドライブ、本当にありがとうございました。

スポンサーサイト



0件のコメント

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

プロフィール

アルプス灯会

Author:アルプス灯会
Since 1975. 今年で48周年

FC2カウンター

月別アーカイブ

ブログ内検索