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26.12.20-21 雪上訓練

【日 程】平成26年12月20日(土)~21日(日)
【場 所】谷川岳およびその周辺
【参加者】33名
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アルプス灯会雪上訓練の山行報告をおおせつかりましたE(Y)です。
昨年11月末に入会させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

山岳会に入ったら雪山を勉強したいと思っておりました。
訓練ではいったいどんなことをするのだろう、のみ込みが悪く皆さんの足を引っ張ったりしないだろうか等考えてしまい、
前日は緊張で若干の寝不足となりましたが往路の電車でぐっすり眠り回復し、土合駅に元気に到着。集合時間9:00、雪訓が始まります。

(1日目)
土合駅で装備の点検をし、入門者班と講師の皆様でロープウェイ乗り場へと出発。
車道を歩いて向かいましたが、路面が凍結していてところどころでスリップしそうになりました。
向かう先に見える真っ白な雪山に興奮しました。

ロープウェイで一気に天神平まで移動。
ゴンドラのドアが開いた瞬間、寒さに驚きました。まだ建物の中ですが、明らかに下の乗り場とは気温差があります。
ここでピッケル等の装備をザックから出し、手袋やヘルメットも装着し、ゲレンデへ出発します。
講師の皆さんの後をついて、訓練に適した斜面へと歩きますが、雪に足を取られてうまく歩けません。
適当に歩いてはだめで、常に足の置き場を意識していないとバランスを崩しやすかったです。

到着まで長く感じましたが実際は10分かかっていないのでしょうか。訓練を行う斜面に到着し、アイゼンはつけないまま、ラッセルの方法から訓練がスタートしました。
訓練生が横に一列に並んでいっせいに同じ方向にラッセルで進みます。
登りではまずひざで雪を押して固め、リズムに乗って足を乗せて前に進んでいきます。難しいです。テンポがいまいちつかめず。
次にキックステップでの登りと下り。私は無駄にキックを繰り返してしまい、そういった無駄は体力消耗の原因なので一発で決めるよう注意を受けました。
上下にまっすぐ登り下りをするだけでなく、斜め方向への歩行訓練も行いました。
行き先にピンクの旗がさしてあるので、進む方向を確認しながら、山足・谷足と両足を置く角度でバランスをとりながら歩きます。
つい、足元を見てばかりいて、ピンクの旗からずれてしまいました。進行方向をよく見ること。
歩行訓練はずっとピッケルを持って行いました。ピック部分を常に山側に向けることで、初期制動を取りやすくする。
これも足に気をとられていると、意識が抜けて逆側に持って歩いてしまいます。慣れると自然と持ち替えられるそうですが、まだまだ注意が必要です。
耐風姿勢の練習もする。強風だ!の声で足を開いて前に倒れるとともにピッケルを雪面にさす。
講師に左右からぐいぐい押されると簡単に裏返ってしまう・・・・もっとぐっと差し込んで耐えねばなりません。
実際の稜線ではどれくらいの風が吹くのだろうか、きっと今回の左右からのゆさぶり以上のものでしょうから、私は簡単に飛ばされてしまうことになる。

何度も歩行訓練を繰り返したあといったん休憩となり暖かい飲み物や行動食でエネルギーを補給しました。
休憩後はいよいよアイゼンを装着しての訓練です。訓練開始前に、アイゼンはみんなまとめて一箇所に固めて保管するようにと教わったのですが、
これはバラバラにすると見失いやすいからだからだそうです。まとめてあると目を引きますし、確かになくなる可能性はより低くなると思いました。
黄色に青に赤、集合したアイゼンはカラフルできれいでした。

アイゼンをつけて、上下斜めと歩行訓練の繰り返し。ピッケルを向ける方向も良く気をつける。
足をまっすぐ雪に置く、フラットフッティングが難しい。前かがみかつ足元ばかり見て歩いてしまい、注意を受ける。
自分で自分のアイゼンを踏んづけて足がもつれてしまったので、意識して両足の幅を広げて歩くことが必要。

アイゼンをはずして次はワカンをつけての歩行練習です。まずワカンの付け方が難しく、一本のベルトで靴に装着するのですが、分厚い手袋ではうまく作業できず・・。
ワカンがあると雪面に沈むスピードがツボ足より遅く感じました。ここでもまた右のワカンで左のワカンを踏んで転倒。足の幅を意識すること!
ワカンをはずして、最後は滑落停止の訓練。
隣の斜面にて、経験者班が雪上にロープをたらしてハーネスもつけて訓練をされていたのですが、その場をお借りして入門者班も滑落停止訓練をさせていただきました。
まず講師に見本を見せていただく。
仰向けに滑り落ちた場合、とにかくすぐに足の振り子を利用してうつ伏せに回転し同時にピッケルを雪面に刺して動きを止める。
うつ伏せになったとき、足が雪面につくと勢いで跳ね飛ばされてしまうため、つま先が雪につかないよう90度にひざを曲げること。
動きが止まったら、曲げていたひざを支点に左右の靴を雪面に蹴りこみ足場を固める。足場が決まったら、慎重にピッケルを支えに立ち上がる。
何回か練習をしたのですが、ほんの0コンマ1秒の滑落でも恐怖で頭が真っ白になるため、自然と身体が動くよう繰り返しの訓練で覚えこませる必要を感じました。
またなにより、とにかく滑落をすることがないよう、転ばないようにしっかり歩くことが大事だと思いました。

気づけば15時を過ぎており、グレーの空からの強い風、雪が顔に吹きつけてきて急に寒さを感じました。
今日はここまでという号令のもと、ロープの撤収等を行い、忘れ物がないよう皆で周囲を確認し、ロープウェイ乗り場へと戻りました。
ここで今日の歩行訓練の復習をしながら歩いたのですが、荷物を背負っての下り、前につんのめったりしりもちをついたり、転んでばかりで前の人からだいぶ離れてしまいました。

ロープウェイを下りたところで土曜のみ参加の皆さんはバスで帰られるためご挨拶をしてお別れ。
宿泊組は土合駅舎にて各自夕飯、その後は宴会となりましたが、眠くて眠くて早々に寝袋へ・・・
翌朝もぎりぎりまで寝て回復。2日目も元気にがんばれそうです(筋肉痛とともに)。

(2日目)
2日目は入門者は3班に分かれ、各班長のもとビーコンの使い方やタコツボ作り、埋没者の掘り出し等、仲間と自分を守り助けるための訓練を行いました。
ビーコンはどのメーカーの製品も電波数が統一されているそうですが、機種によってアンテナの数や矢印の示し方に個性があるとのこと。
ビーコンは一番下のウェアに装着し、身体から離さないようにする。暑くなって衣類調整をしても脱げないところにつける。
2日目はロープウェイには乗らず、初心者班は白毛門にむかう途中の広場(?)で訓練を行うこととなりました。
講師から、山では行動前にビーコンの電源を入れることと、仲間のビーコンの止め方を把握しておくことを教わる(複数遭難時に、見つけた人から電波を止めないと捜索に支障がでるため)。
一つのビーコンをタッパーに入れて雪の中に埋め、それを他のビーコンで捜索します。
音がなって矢印が発信している方向を示すので、ゆっくりその方向に向けて進んでいくが、示される数値は、進行方向の距離だけではなく、埋まっている深さを示している可能性も考慮すること。
ここだという箇所を見つけたら、プローブという棒で目印をさします。プローブの伸ばし方・縮め方も教わりました。

ビーコンの練習をしたあとは、タコツボづくりを行いました。
雪を掘って、風をしのげる小部屋を作るのですが、スコップで雪を切り出したものを使いって掘ると同時に壁も作ります。
また、穴の一部に椅子や棚をつくるなど居住性を高めることもできるそうです(緊急時こそ気持ちに余裕があったほうがいいと思いました)。
私の作ったタコツボは性格の雑さが手に取って見え、あとでみなさんのタコツボを見て猛省・・・
穴に入りツェルトで屋根をしてしゃがんでみると、暖かかったです。
緊急時に風雪をさけて体力を温存するために、とても効果的だと思いました。
ただ掘るのにちょっと体力がいるので、疲れ切る前に、早めに掘って温存に入る必要があるのだろうと感じました。

他班では「皆のザックを固めて上からツェルトをかぶせ、その上に雪をどんどんかけて押し固めてから横から穴を掘ってザックを抜いた、かまくら状の人が入れるもの」を作成されていました
(名前を失念してしまいました)。
一部作成に参加させていただいたのですが、これがなかなかザックを取り出すことが大変で、徐々に頭や体を入れて横方向に穴を掘り進めていくのですが、
上から雪が落ちてこないかと怖かったです。またシャベルで寝転がってかきだすと腰にきてしまい、緊急時に疲れ果てていたら無理かもと思ってしまいました。
でもこういった手段があるということを知っていること、知るだけでなく体験することも大事なので、訓練で経験できてよかったです。
その後無事ザックが掘り出され、かまくらドームとなった雪洞は10人近く入ってもだいじょーぶ! なすばらしいものに出来上がっていました。
狭いドームでも、人がいっぱい入ることで暖かさと心強さが生まれました。

埋没者掘り出しの訓練の順番がやってきました。
訓練は広場より上にすこしあがったところで、槇会長が講師として教えてくださいました。
黄色のレインウェア上下を着た雪の人形「埋没くん」を雪の中から掘り出し救出します。
皆でいっせいに遭難者を掘り出すのではなく、指令係や、掘り出した後に搬出するための道づくりを行う者など、役割を分担して行います。
V字コンベアーベルトといって、先頭で掘る者・先頭の人がかき出した雪をよける者・指令をする者・道づくりを行う者、
埋没者を中心に逆Vの字に配列し、探していきます。先頭は疲れるので指令塔の声かけで順番に交代して掘っていく。
顔を傷つけないように衣類が出てきたら手で作業をするとともに、「もう少しだ!」等の声かけを行う。いきなり外に掘り出すと温度差で体がびっくりしてしまうから、急に出さないよう慎重にする。
黄色のウェアが見えたとき、本当の人間のようでびくっとしました。
運び出すときは皆の手や腕をつかった人間担架にのせて、安定したところへと搬出しました。
つい掘ることに必死になってしまい、まわりが見えなくなってしまう。勢いで埋没くんの顔をけずりそうにもなりました。

最後の訓練は、埋没くんにビーコンをつけて、埋没者発見から掘り出し・搬出までを2グループにわけて行いました。
雪崩の発生から、遭難者搬出までをタイムをとるとのこと。
自分は2番目の班になったので、最初の班の訓練を下から見学させていただいた。
雪崩がおきて人が埋まった、というスタートから、ビーコン担当が自分のザックをその場においてまず埋没者の位置を探すため雪面をかけおりてくる。
このとき、下で見ていた講師が、ザックはピッケルで雪に止めないといけない。とおっしゃいました。なるほど。
ビーコンが反応するところで、プローブをさして埋没者の位置をつきとめ、シャベル担当が掘り出していく。
このときは、見学者から、みんないっせいにほぼ同じところを掘っているから、他者にぶつかりそうだという感想が聞こえた。確かに。
そして無事埋没くんは掘り出されて、搬出されていきました。時間は1分かからなかった。

2番目の班の順番となった。先ほどの講師のコメントや見学者の感想を反復しながら、斜面を登っていく。
私はこのとき自分のザックを広場に置きざりにし空身で参加していたのですが、ザックを背負って斜面を登るのは勝手が違うように思えました。
シャベル担当だったため、まずはビーコン担当による位置確定がされたのち、その場所を掘っていきます。
先ほど心の中で反復していた「まわりをよく見て、同じところに集まって掘らないように」がどこかへ行ってしまい、やみくもに掘ってしまいました・・・
埋没くんを搬出するとき胴体が離れてしまい、またもびくっとしてしまう。
冷静でいなくてはいけないのに、練習でもかーっと頭がいっぱいになってしまうことを痛感しました。
次の雪訓ではもっと落ち着いて訓練できるように、日ごろから意識して冷静さを身に着けたいと思います。実践で使わないことが一番ですが、もしものことを考えながら日々の山行にも参加しないといけないと思いました。

2日間の雪訓に参加し、雪山の美しさや楽しさ、そしてそれを上まわるリスクやこわさを感じることができました。
きちんと訓練をし、知識と経験をつんで、一歩ずつ雪山に向かっていきたいと思います。
今回は貴重な山行報告の機会をいただいたのに、一か月以上も報告をあげずに申し訳ありませんでした。
幹事のみなさん、講師のみなさん、お忙しいなか大勢をまとめ、そして技術や知識を教えてくださり本当にありがとうございました。

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