アイスクライミングであるが,明日の練習を兼ねて,想定している T/R,G/M ペアでそれぞれリード&フォローで登って懸垂で降りる練習をする.つまりリードがまず登っていって,降りずに上でビレイ.セカンドが登って二人順に懸垂下降で降りる.氷はでこぼこでどこにでもアックスが引っかかりそうで簡単そう.小滝は横から巻いてトップロープのセットも可能だが,T がまずリード.登り始める前に R が回収することになるのでスクリューの持ち方とラッキングの方法を確認する.で,T がリード.緊張するがもうまったく怖くない.昨年12月の人生初リードもここでしたのである.不思議な感覚.そう,はじめて外岩リードしたときと一緒.なんであれが登れなかったのだろうって.あとから必ず思う.ウソみたい.危なげなく登り,トップロープをセット.ジムで練習していたロープを介した無言でのビレイ解除,ロープアップ,ビレイオーケーの確認の合図をやりとりし,そして R が登る.なにやら時間がかかる.途中悲鳴が聞こえる.R だけ平爪アイゼンで登っているのでまぁ仕方ない.自分も昔,平爪で登ったことがあるが,とにかく足が決まらない.クライミングは足が重要なので,それが決まらない平爪だと全然登れないのである.ビレイしながら上で待つ.小滝は上からだと登っているフォローがまったく見えない.そういう状況での練習にもなって良い.しばらく経って無事,上がってくる.まずはメインロープでセルフビレイを取る.悩んでいる様子.トップロープ用になっててちょっといつもと違う所為かな?環付きビナをまずかけて...思い出した様子.が,クローブがすぐに作れない.2,3回やりなおしてセルフビレイ取って,ビレイ解除のコール.はい,ここまでがリード&フォローの練習.次は懸垂下降.シングルロープでの終了点での懸垂セットもだいぶスムーズになった.今回はその後トップロープに登るのでロープのかけ方が違いますが.で,R に肩でロープを巻いてもらって,そのままバックアップ&確保器をセットして降りてもらう.しかし絡んでロープが出なくなり,途中で投げた模様.無事下まで降りて合図がくる. T が降りて終了.
アイスクライミング中は雪が舞ったりしていたが行者小屋までの道を歩いているうちに雲がどいてきて赤岳が姿を現す.これは明日の天気,期待ができる.心配していた風もない.15:50 行者小屋のテン場着.そこそこテントが張られているがまだ場所を選べる程度.適当なところを整地し,テント設営.テントに穴あけるとまずいので T と G は小屋の前でアイゼンをモノポイントからデュアルに変更.その間に残りに水汲みに行ってもらう.M はモノのままで登るという.自分はちょっと自信ないので明日の岩はデュアルで.しかしモノからデュアルへの切り替えを外でやるのは手がかじかんで難しかった.アイゼンケースの中でやればテントでも大丈夫だったかも.小一時間結局かかったかな.来シーズンはモノでアイゼントレして岩もモノポイントで挑みたい.夜,テントから出ると星空が広がり明日が待ち遠しくなる.ちょっと(?)トラブルがありつつもなんとかなって 21:00 に就寝.
<2日目> 4:00 起床.今回は時間短縮の新アイテム投入もあり 6:00 出発.前回から1ヶ月以上経ち,日の出もだいぶ早い.空を見上げると青空が広っている.良し,天気は問題なし.文三郎方面に歩き出す.途中,前回と異なり正規の分岐より手前から阿弥陀方面にトレースが伸びる.ここは右.しばらく進んでも左から合流するトレースがなかったので,正規の分岐まで行っていたらラッセルになっていた.正解.しかし途中,もう一つの分岐を間違えて中岳沢への道に入ってしまう.手前から分岐したのですこし距離を歩いてから右に行くハズ,と思い込んだのが原因.意外と近かった.しかし,雪の状態は良いのでそのまま上がり時間短縮を図ることにした.尾根を歩くより断然速い.だいぶ上がったところで右の尾根に戻る.すでに陽は高く昇り空は濃い青色が広がる.気温も徐々に上がりまったく寒くない.途中1パーティ見かけただけで前後に誰もいない.先行パーティは1パーティ程度のようだ.こんなに天気がいいのに!でも1月の3連休に敗退したみんなはおそらく2月中に再挑戦してしまったんだろうなと思う.我々も早めに再挑戦したかったがいろいろな都合で3月になってしまった.しかしやはり3月の方が天気は安定している.1月はやはりツライのかも.7:05 前回敗退ポイントに到着.風は弱く快適.しかし T の調子がいまいち.7:40 取り付きに無事到着.過去の記憶が曖昧で意外と敗退ポイントから長く,かなりの急登だった.取り付きで急に T が<<検閲済み.詳細は直接聞いてください>>その後 T はなんとか登れるくらいには復調.
準備を整え,いよいよ登攀に入る.目の前には何度も見ている岩の塊.深呼吸して気持ちを落ち着かせる.登攀順序だが G/M ペアが先行し T/R ペアが後発で行くことにした.理由は一番簡単な2ピッチ目で R がリードできるようにするため.G/M が先行するので,2 ピッチ目 R がリードしてもビレイ点で先行ペアに合流可能なので安心.1ピッチ目先行ペアの最初のリードは経験者の G.ここは1ピッチ目の取り付き直後が核心なので,ここを抜ければもう安心.ハンガーボルトもここに2本しかなくあとはピナクルなどを利用したナチュラルプロテクションのみ.G が登っていくのを見届ける.落ちないでよ,とまた意味の無い声をかける.誰も落ちたいと思って落ちる奴などいない.G は順調にあがり岩陰に消えていった.核心抜けたので大丈夫でしょう.しばらくして M が登攀開始.斜度が緩いせいか,やはり風がなくても岩が邪魔して声が届きにくい.M も消えていく.さて自分の番です.R に,取り付きの残置ピトンにセルフとってもらってロープ巻いてビレイセットしてスタート.いままで左にあるクラック沿いに登っていたが,今回はハンガーボルトの真上にルートを取ってみた.そしたら,あれれ,簡単ですね,ここ.今まで苦労していたのが嘘みたい.どうやらこれまで難しい登り方をしていたらしい.それか1年間でだいぶ成長したのだろうか.今シーズンはアイゼントレもちゃんとやったし,外岩もそこそこ行ったし.ジム練も頑張ってるし.まぁでも1ピッチ目のこの部分が核心というのは変わらずかな.順調に上がるとビレイ点で G がビレイ中.M がリードで 2 ピッチ目を登っている.ハンガーボルトにぎりぎり2枚目のカラビナが入るので二つめの支点構築.R へ合図.そうこうしている間に M が2ピッチ目を登り切ったようで G が登攀開始.R がまだあがってこないので実はもうちょっと待って欲しかったけど,あっという間に消えていった.ロープアップし確保器セットして合図.しばらくすると R が上がってくる.つるべなので R がそのまま2ピッチ目を今度はリード.順調に上がっていき一人取り残される.下を見ても誰も上がってこない.独占状態.R は無事終了点にたどり着いただろうか.リードのビレイはひとりぼっちになるので結構寂しいのである.ロープの動きに集中し,何をしているか想像する.2ピッチ目は30mちょい.途中ロープが止まるがまだ十分出ていない.プロテクションをとっているのだろう.再びロープが動き出す.何回かそれを繰り返し,そろそろかな,と思ったところで解除の合図.大丈夫なようだ.T も2ピッチ目を無事登り,リード交代.3ピッチ目を T がリードで行く.序盤ちょっと斜度があったような記憶.岩でプロテクションを数カ所とりながナイフリッジ手前まで上がる.すると G がビレイしていて M がナイフリッジ先にいる.ちょうど通過してビレイ交代というところだった.ナイフリッジはあまりナイフリッジらしくなく結構幅がある.進行方向右側は切れ落ちているが,左側は雪が一杯で怖くない.しばらく待って G がナイフリッジを通過.ここで G/M ペアのようにピッチを切る予定だったのだが,M がビレイ点をつくったのでそれを利用することに.ちなみにナイフリッジ通過後は立木などはないのでアックスやスノーバーで支点を作る必要あり.G 通過後,続けて T も通過する.M の作った支点でセルフとって腰がらみビレイで R に合図.上がってきてもらう.それほど斜度があるわけではないのでこれで問題ない.R もナイフリッジを通過しこれで全員登攀無事終了.あとは頂上まで10分かからない.
富士山が雲から頭をだしている.南側だけ雲があるようだ.10分かからず山頂に到着.9:10.山頂には3,4人いた.一般ルートで登ってきた方の様子.山頂は期待通り 360 度の大パノラマ.記念撮影.10分ほど山頂を楽しみ下山開始.降りる方向はこの日ははっきりしているが G が念のため正しい方位をコンパスで割り出す.そう,今シーズン2回もここで事故があった.平らな山頂.晴れていれば間違いようのない方向もガスってしまえば下山方向の特徴がなく,まったく分からなくなる.9:20 中岳目指して下山.岩場の核心は抜けたがルート全体でみればこの下山路こそが本当の核心.自分も2年前,滑落するのを目撃している.その人は即座に滑落停止の姿勢をとり無事だった.一歩一歩確実に,それしかない.最悪ロープを出そうかと考えていたが,そこまでは必要なかった.みんな危なげなく下っている.雪面は太陽の熱を受け徐々に緩み始めていてアイゼンは容易にささりキックステップも深くきまる.急坂を無事下り,9:50 中岳のコルに到着.急坂はここまで.中岳沢の下山路と中岳への分岐.まだ時間はたっぷりある.中岳登るのもこの天気なら稜線歩き楽しいよ,と T が発言するが T は体調が結局あまり良くないのである.中岳超えて文三郎から降りようかという雰囲気になりつつあったがリーダの体調優先ということで中岳沢を下山することに.みなさんごめんなさい.中岳沢は尻セードで一気に下降.あっという間に行者小屋まで戻ってきた.10:15.テント撤収して 11:10 出発.南沢を下り 12:45 赤岳山荘の駐車場に無事下山.まだ 13:00 前!いつも売り切れで閉店してしまうお蕎麦屋さんに寄るチャンス!というわけで風呂の前に蕎麦屋へ.開いているかドキドキしながら行ったが無事閉店前に行けた.その後またいつもの温泉に寄り,さぁ今日は早く帰れるぞ~と思っていたら今度は事故で中央道が大渋滞.結局普段と大して変わらない時間になってしまった.というわけで新宿で解散.お疲れ様でした.
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