日程 :2008年8月9日(土)~10日(日)
参加者 :3名

芦安の駐車場から5:10の始発のバスでシレイ橋、5:40到着。橋からロープ下降して最初の沢を登るはずが、見上げるとガレと工事現場のようなゴロゴロ岩の間を轟々と滝が流れている。
「これ、登るの!?」「え?巻き巻き!」こうして巻き巻き大作戦が始まる。
HPの直登できる滝が少ないというコメント通り、次々現れる滝は迫力あり過ぎで、その水量と垂直な壁、ぬめる苔で登る気がしない。他の人達も皆くじけるようで巻き道はしっかり。あー無理無理…と眺めては巻く。登れそうな滝もガバがポロッと取れたりでヒヤヒヤもの。釜は噂どおり大理石の細かい砂が敷き詰められているようにきれい。
ようやく白い滝やナメ、小川山のスラブのような斜面が現れ、きれいな景色にゆっくり写真タイム。9:30頃最後の2股到着。「おっ早く着く、今日中に下山して明日は別の沢?」と能天気な意見交換をし、私は、もし下山できなくても稜線に出たら、夕立予報だし薬師小屋泊まりを心に誓う。
このときHP通り右股を選んでいればそれも可能だったかもしれない。しかし、灯会で沢に行くとわざわざ逆を選び、とんでもない事態に陥る。このときも本流は左だし、という隊長の意見に?と思ったが結局左股へ。現れた滝に適度な巻ける斜面があったにもかかわらず、巻き続きで禁断症状がおきた隊長は、これは登れる、よし、とロープを取り出し、有無を言わさず滝を登り始める。滝の上の崖は近寄ってみると「これ登れってか?」しかし隊長は上に行ってしまい、仕方なく2番手でとっつくが、もちろん登れない。
以前、前穂で、「登れないときの合図は何ですか?」と隊長に聞いたら、「ロープ切って下さい、と言って」と血も涙も無いような事を言われたが、今回はそんな打ち合わせはしていないから、切られることはないだろうが、足も手も怪しげで、足がミシンを踏み出して動けない。長い停滞の末に腐って動く枯れ木を押さえつけてようやく越えた。後ろで雷音が響きだし、後続は生きた心地がしなかったに違いない。何とか登りきってほっとした。人間やってやれないことはない。松の木の下で13:00~15:00の2時間、小さな焚き火で暖を取りながら雷と雨をやり過ごす。
左岸に移り、狭い平地でビバーク、小屋の布団が脳裏をよぎる。隊長は岩の洞窟を見つけ、ここで寝れば暖かいとご機嫌だったが…。疲れ果ててレトルトカレーとインスタントラーメンという投げやりなメニューを作りながら、ナルミズ沢の急な斜面で最高のカレーをご馳走してくれた偉大な元会員に思いをはせる。あの素晴らしいカレーをもう一度…。洞窟の中は結構斜度があり、目が覚めるたびにずり落ちている身体を戻しながらまたナルミズ沢が懐かしい。寝床は平地が望ましいとしみじみ思う。
翌日6:30発、行く先に悪魔のような岩が待ち受け、ついに登れず懸垂で下降…という心配は無用で、多少の藪漕ぎの後、8:00真っ白い鳳凰三山直下のザレ場に出る。スラブの女王様は突然百名山ハンターに豹変し、山梨百名山も増えたと狂喜している。会に百名山病が深く蔓延していることを実感する。隊長も関心ないフリをしていたが、家に帰ってこっそり足し算をしているに違いない。更に今回はオベリスク登頂のおまけつき。断念する一般ピープルを尻目に、一応確保を取り残置と足場頼りにあっという間に岩のてっぺんに登る。丁寧に足場と手が切ってある。地蔵岳は実にサービスが良い。そのうちオベリスクの前にチケット売り場でも出来るのでは?と思ってしまう。
オベリスク分岐を11:30発、白鳳峠経由で15:30広河原。乗り合いタクシー運ちゃんがいて、早く駐車場に戻れる。シレイ沢は沢というより巻き道と岩登りの沢だった。斜度と水量…南アルプスに突き上げるとはこういう事なんだと実感。教訓:ないないと騒がず探そう 荷物とホールド
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- 2008-09-03
- 沢登り
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